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労務相談(労務カウンセリング)事例のご紹介

Q:従業員が8名なので、就業規則を作るか作らないか悩んでおります。この場合でも懲戒はできえるのですか?

  • A:
  • 懲戒権は会社が秩序規律の要請から認められる権利ですから、その範囲内でこれら権利を行使するのは構いません。しかし、最高裁判所判例では、『使用者は、企業秩序の違反行為に対して、「規則の定めるところに従い懲戒処分を行うことができる」としていますので、 実質就業規則が不可欠の根拠 という判断となります。

    また、近年の判例においては、「使用者が労働者を懲戒するには、予め就業規則において懲戒の種類及び事由を定めておくことを要する」として、 懲戒権は就業規則に規定して初めて行使できる ことを改めて表明しました。(最判昭58.9.8他)

Q:就業規則はありますが、従業員には広く周知はしない方が都合がいいと思っております。この場合でも問題社員を懲戒できますか?

  • A:
  • 判例(最判平15.10.10)では、 「就業規則の効力発生要件は、労働者への周知手続がなされていることを要する」 とされておりますので、 正しい形としては、就業規則に根拠があり、これを周知していることが要件となるでしょう。

    また、 平成20年施行予定の「労働契約法」では、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、使用者が労働者の理解を深めるように努める、 という内容が規定されておりますので、 周知にあたってもポイントを説明すること も重要となるでしょう。

    こう考えれば、広く周知はしないこと自体が問題となります。

Q:当社は、企業秘密に属する高度な情報が多いのですが、従業員の秘密漏洩が心配です。就業規則に規定する場合、どのような点が重要でしょうか?

  • A:
  • おっしゃるように、まずは企業秘密に関する定めを労働協約、就業規則、労働契約に おいて明文化する必要があります。

    その上で、 会社の秘密の保管・表示方法、取扱い方法 や取扱者の限定、 取扱い手続、監査、保持違反等の対応についても、徐々に明確に定めていくということも必要となります。

    また、競業避止でも同じですが、できれば代償措置など 明確な責任を表現した手当の支給などの代償措置を在籍中から行っておくと、問題となった場合に有効です(代償手当を支給され、「同業において製造販売業務に従事しないこと、 これに反したときは、手当は返還する」旨の約定に反して退社・独立後半年で元の勤務先の得意先回りを始めた元営業部長に対して、「手当相当額」ではありますが、返還請求を認めております)。

    いずれにしても、漠然と企業秘密漏洩を問題にしても、会社にとって不利なので、 これだけの構えを会社はしているという事実、そして労働者にもそれが十分に理解されている ことが必要なのです。

    参考ですが、不正競争防止法第2条4項では、保護する営業秘密の要件として、
      [ 1 ] 秘密としての管理性
      [ 2 ] 秘密情報の有用性
      [ 3 ] 非公知性
    をあげております。これは経営者にとっても分かり易い基準だと思います。ただ、 この法律の定める企業秘密の要件だけでは、会社にとっては十分でない が為に、就業規則でもう少し具体的に定める必要があるのです。

Q:うつ病の休職期間が満了した社員が主治医の診断書をもってきたが、どう見ても具合は悪そうですが、この場合に復職は義務なのでしょうか?

  • A:
  • 最初にお答えしますが、 休職させるのも会社の判断であり、復職させるのも会社の判断 だということです。しかし、本人の主治医とはいえ、 復職可能というのがどのレベルなのかは別の問題 です。

    医師は、「当該業務に」復職可能だといっている訳ではありませんので、休職前の本人の業務に即付けなければならないというわけではありません。

    特に中小企業の場合で、産業医等を選任すべき人数規模にない会社の場合には、このあたりは少し工夫が必要です。大企業であれば、今日職場復帰プログラムがありますから、これにそって、短時間勤務や他の軽易な業務につかせるということも可能ですが、中小企業の場合には、人手不足感が強く、短時間勤務などの臨時措置が大きく負担となるのです。

    そこで、休職期間の延長なども規定しておくという方法もあります。また、本人の主治医の判断の場合、未だに 本人のためを考えて、又は本人にせがまれて良い方向で診断書を記載してしまう傾向があります。

    これに対応して、会社がどう判断しても復職が難しい状態であると判断した場合には、 「会社の指定する医師」に判断を仰ぐことができる という1文を規定しておきます。

    この分野の問題は、就業規則以外に職場復帰規定を作成することをお勧めします。なぜなら、上記のような場合に、会社が本人の主治医に事実確認しようとしても、医師は法律上守秘義務があり、本人の同意も必要ですので、困難が伴うからです。 就業規則でこれら一連の手続を定めるのは困難ですが、最低限会社側が判断する、という意思表明は規定しましょう。

    (参考判例:最判昭61.3.13:頸肩腕症候群の長期罹病患者に対し、2週間の入院を要する頸肩腕症候群総合精密検査受診命令についての適法性が争われた事件で、裁判所は、「『就業規則や労働協約上の根拠があり』、従業員の病気治療という目的の合理性ないし内容の相当性を有する限り有効であり、従業員が検診の自由や医師選択の自由を理由に拒否できないもの」とし、違反者への戒告処分を適法としました)

Q:健康診断を受診しない者がいるので、対応に困っております。どうしたらいいのでしょうか?

  • A:
  • 会社は、労働者の労務の提供に対して賃金を支払う債務を負いますが、これのみではなく、労働のための場所、設備、器具、指示命令等によって労働者が生命及び身体等に危害を受けないように安全に配慮する義務を負うことになります。

    労働契約関係に伴う義務として信義則上認められております。すなわち、健康を管理するのは会社の義務である、 そしてそのような重い義務=責任がある以上労働者には、受診命令を出すことが出来る となります。

    そして就業規則には「受診を拒否することはできない」と記載することもできるという結論となりますから、会社は毅然とした態度で命令します。もし、これに従わない場合には、自宅待機等の懲戒の対象とすることも可能です。

    また、平成20年施行予定の労働契約法5条においても、安全配慮義務が規定されており、今後は、法律上会社が明確な責任を負う上でも、毅然とした態度の表明が必要です。

Q:協調性が無い社員を解雇したいが、能力はあるし、年齢も高いのです。そもそも協調性を理由に普通解雇できるのでしょうか?

  • A:
  • 協調性の欠如は解雇事由となります。 また、入社間もない若手社員ならまだしも、それなりの社会経験がある方の場合には、重要な要素が欠如しているとして、短期間での判断も認められやすいというのが事実です(能力不足でも同じです)。ただ、「協調性が不足 していて、再三指導しても改善の見込みがないとき」として、 就業規則の普通解雇事由に記載 していない会社が非常に多く見られます。無い場合には、早急に規定しておくべきです。

    平成15年に労働基準法が改正され、解雇は「客観的で合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には無効とする(労働基準法第18の2)と規定されましたので、ただでさえ、抽象的な「協調性」を具体的なものとしておく必要があります。

    そこで、まず就業規則に規定したとしても、普通解雇判断をするまでに何回かは指導する、同僚への協力を求めるなど、段階的な措置をした上での対応が必要となります。客観性を高めるためには相当性が必要で、社会通念上相当とするために、客観性が必要ということになりますが、 最低限就業規則には解雇事由として記載しておく必要があります。