〜身近なアドバイス集〜
解雇編

労働局へのかけこみで最も多い「解雇トラブル」

解雇の「有効」「無効」とは?

☆ 労働基準法第18条の2は意味深い!☆

(条文)

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」

解説)

この条文の特徴は、「合理的」「相当」という規範概念、そもそも抽象的で解釈による補足が必要な言葉が使われているため、解釈が難しい点です。労働権については、まず憲法27条にて、国家の国民に対する義務として労働する権利を保障し、国民もその機会の保障を求める権利と義務を有するものとしています(労働基本権)が、憲法は、もともと私的関係には深入りせず、その精神を説いているだけであります(実際には憲法を民法の解釈に間接適用することもあります)。

そこで登場する民法627条第一項においては、「各」当事者は、基本的には何時にても解約できるものとしている訳ですから、ますます理解するには深い解釈が必要です。企業側からすればとかく都合良いように解釈しがちですが、実はこの条文は最高裁判所が以前から持っていた判例理論をそのまま立法にしたものであり、司法理論が条文の行間に蓄積されていて、一義的に対処するのは危険な代物であるのです。

また、「濫用」という言葉は、まるで憲法12条が国民に投げかけているごとく事業主の行動の「濫用」を警告しているということに注意してください。つまり、労働基準法第18条の2は、一方が他方より力関係上強い場合を想定している条文なのです。「一方」とはどちらでしょうか?もちろん使用者側がその「一方」なのです。しかし、その裏を読めというのはよくいったもので、怖がることもありません。要は解雇に「客観性」「相当性」があればよいのですから。この点はちゃんと法律も「指導」してくれているのです。

このように、もともと事業主様がかなり法的にハンデを負っているというのはご理解いただけたでしょうから、最初から法的義務を果たしちゃいましょう。というわけで、最低限以下の予防法務を「法的に」実施してください。「その時」にかなり負担が軽減されます。

(予防法務)


@ 経営目標・経営理念を明確に!会社の方向性を提示しましょう。

(会社の方向性と合わない場合には、解雇以前に労働者自身が自身の職業選択の自由を行使して自主退職することが多く、あえて問題になりません。逆に、方向性を理解した従業員は、その方向に沿って能力を発揮していくことになります。)

A 基本中の基本:労働条件の明示をしっかりと!!
(労働基準法18の2)

この際に、しっかりとどんな場合に解雇されるかわかるようにしてください。実は多くの企業様がこの点さえ押さえておられません。

B 就業規則にも解雇基準を明記しましょう。当然周知しましょう。
(労働基準法106条)

C 能力評価はしっかりと!
(民法1条第2項、3項、同90条。自論です)

 「能力不足による」解雇、は一番危ないのです。相手は当然理由をきいてきます。そうです、この場合のモノサシとなるのが能力主義に根ざした人事考課制度であり、評価システムなのです。必ず定期に能力評価・目標管理を行いましょう。これこそが「客観」資料となります。客観的でない場合には、人事権・解雇権の濫用にされてしまいます。

D 言葉をかけましょう。
(民法415条。雇用契約に付随する義務と考えてしまいましょう)

ちなみにこれもかなり自論です。他整理解雇の4要件参考に!)。説明義務、解雇回避義務は、最後までつきまといます。何も言わないでいきなり「解雇する」ではなく、事業主側も、何とか雇用を継続しようと努力した、と相手に認識できる程度の「客観的」「演繹的」行動が必要であるのです。また、最終的にはこの企業側の「人格」的側面が解雇される従業員にも納得され、紛争を未然に回避することに繋がるのです。

 

 

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