〜身近なアドバイス集〜
うつ病等の人事労務対策編

1.精神障害による労災補償数の推移

精神障害を理由にした労災請求は、平成11年以前には、その1割以下しか認定されていなかったのですが、その後請求件数の増加に伴い、認定割合も大幅に増幅しているのが特徴です。

2.自殺者の急増

精神障害を理由にした労災請求に於ける重要な問題は、その認定件数に占める自殺者の割合が非常に高いことです。民事でも判例により自殺と業務との因果関係認定のアウトラインが決まり、今後益々、「自殺が会社の責任」とする社会認識が明確になると考えられます。

3.民事責任の追及へ

精神疾患は、業務上に起因するとされた場合、労災と認定されてしまうこと事態が企業の最も畏れる事態であると考えがちですが、一番怖いのは、これが民事の損害賠償につながり、不法行為や債務(安全配慮義務)不履行責任まで問われる問題である点です。

4.予防法務

@ 健康診断の確実な実施

A 時間管理は会社が責任をもって行う。 また、
直属上司の責任を徹底して認識させておく

36協定はあくまで時間外労働の上限の目安ですから、できる限り所定労働時間に近い労働時間を維持するようにする。実際に管理にあたる上司の管理義務違反は労基法上厳しい罰則が据えてあります。

B 労働時間を削減できるようき会社が措置を行う

設備投資・作業フローの改善等の業務改善(リ・エンジニアリング)・人材の採用・アウトソーシングなど事業・機能戦略を実行する。

C 就業規則で予防する

休職・復職条項や、採用時での判断要件の見直し等、要所を締めた条項を各所に入れておくことが必要です。基本は、労務の提供ができる状態か否かですが、その際の判断は、あくまで「会社が」責任もって行ってください。

D 有給休暇等、労働者に属する権利はスムーズに消化させて、
健康回復に配慮する

 「いまどき有給休暇なんて。」という言葉をよく耳にしますが、会社がいくら有給休暇を取得させないようにしたところで、法令で定められた権利に対抗することはかなり無理があります。こういう権利はできる限り割り切った対処をして消化してもらうことが一番です。

これによって労働者が仕事意欲を回復して生産性も向上し、また、精神疾患など業務上災害として認定されて高い授業料を支払うような大きなリスクも回避できると考えれば、まさに有効な予防法務でしょう。

どうしても忙しい時期が続くというのであれば、繁忙期を避けて「計画付与」しましょう。また、有給休暇の年度中の消化を促進しましょう。

★カウンセラー制度を利用しましょう。
★(労働安全衛生法第70条の義務遵守)

昨今、労働者の健康管理、特に精神面の健康を自主的にケアするという動きがみられます。こうした制度は中小企業には負担が大きくのしかかるものでありますが、どんどん取り入れて、逆に従業員の仕事意欲向上を実現し、生産性の向上に利用していきましょう。

中小企業にお勧めするのは、第3者としての専門家(臨床心理士、産業カウンセラー等)にカウンセラー事業そのそのものを委託することです。大企業の場合、社内に相談員(室)を設置して自助努力を行ってください。鬱病者の事前発見、職場復帰後の勤務を段階的に構築するなど専門家としてサポートしてもらうことは、予防法務・事後予防としても効果大です。

 

海野労働法務事務所 All rights reserved